死にたがり日記

体調/日々の所感/ソシャゲのこととか

植え替えのこと/いのちのこと

我が家にはステレオスペルマムの鉢植えがふたつある。ひとつは揷し木で増やした分だ。どちらの鉢植えも最近異様なスピードで土が乾くので鉢の裏を覗いてみると根っこがはみ出ていた。シルクジャスミンの鉢の裏にも根っこの影がちらほら。まだモジャモジャしてる様子ではないので迷ったが、まだあたたかいうちにと思って植え替えをすることにした。

きのう仕事がの用事を済ませたあと(この用事がかなり長引き消耗した)、閉店三十分前のホームセンターに滑り込んで新しい鉢と土を買ってきた。四号鉢を使っていたのでひとまわり大きい五号鉢を買ってきたのだがかなりでかい。土も重い。両手に大荷物を抱え駅に着くと電車が止まっていて、帰るの諦めてホテルに泊まろうかな、と一瞬思ったけど、これから引っ越しにより出て行く金のことを考え大人しく別の電車で帰った。

そんなこんなでヘロヘロだったため、いつも五時前には目が覚めるのだが、今日はそこからグズグズと寝たり起きたりを繰り返し、ようやく起き上がれたのが八時だった。いや毎日これくらい寝かせてほしいですけど。できれば中途覚醒なしで。そこんところはどうなのですかわたしの肉体。午前中は日当たりの良い時間なので植物のみなさんには日向ぼっこをしてもらい、わたしはホームセンターに行ったり外出に消耗してベッドに伸びたりをした。そうこうしてたら二時。日陰になってきていい感じのベランダで作業を始めることにする。

土から引っこ抜いてみると、やっぱり全員根っこがパンパンでやばいという様子ではなさそうだったが一部の根っこがかなり伸びており、鉢底にひっついていた。なるほどこれが回り回ると根が詰まってしまうのか。かつて会社で「ひとりひとつ植物を育てよう!」みたいな企画に参加したとき、わたしがもらったステレオスペルマムは大きくなりすぎて根詰まりと根腐れを起こし枯れてしまった。それがかなり悲しかったので今回は早めに動いたわけだが早すぎたのかもしれない。あまり過保護にしても裏目に出てしまうので今後はもうすこし考えたい。

感動したのは揷し木で育ったステレオスペルマムのほうで、立派な根っこがニョキニョキ生えていた。すごいな植物って。本当に強い。葉っぱが生い茂りすぎていると蒸散で水が出ていってしまうというのですこしずつ切り揃えていつもの場所に置いた。やはり五号鉢、でかい。入れものがでかくなっただけで成長しているような錯覚に陥ってしまう。今回植え替えしなかったピレアとミントが小さく見えるがギリギリスペースにはおさまった。よかった。

達成感と共に写真を撮りながらふと思ったのだが、はじめに三百均でシルクジャスミンを買ったのがたぶん去年とかそのあたり、それからあれよあれよという間に鉢植えが四つも増えており、なんかあれかな、精神のバランスを保つために自然と手が伸びたのかな、などと思ったりした。思っていた以上に磨耗していて、すがるものが欲しかったのかもしれない。先日久々に話した元同僚には「凍川はものぐさだから植物枯らすタイプだと思ってたのに」と言われたが、たしかに植物に関することはわりかしこまめにしている気がする。ミントは構いすぎて枯らすくらいだし(どこにいるの こんな雨の中…)。

自分が手間ひまをかければ応えるように育ってくれるのが嬉しかったし、植物はもの言わないが部屋にいるとなんとなく心強かった。なんの目的もなく、楽しいことが減りに減った毎日がちょっとだけ楽しくなって(明日この新芽はどれくらい育っているだろうとか)、どうにか生き延びることができた。感謝している。植え替え後の疲れだとか、わたしの引っ越しによる環境の変化だとか、冬の寒さに耐えてまた元気に育ってほしい。

そういえば、元同僚に言われた「植物枯らす側の人間だと思ったのに」という言葉で小学生のとき授業の一環で二十日大根を育ててていたことを思い出した。水やりが億劫で畑を放っていたら野菜がしおしおになってしまって、同級生ともども先生に叱られた。「野菜にも、植物にも命があるんだよ」って。わたしはそれを聞いて、なんてことしちゃったんだろう、わたしはこの子たちを殺しかけたんだ、と思ってすごく泣いた記憶がある。田舎だったこともあり、きっと虫も植物もそのへんにあるものとか、遊び道具の一部、みたいな認識しかなかったから、先生の言葉が衝撃的だった。義務教育時代の思い出なんてろくなことがない、先生も好きな先生より嫌いかどうでもよかった先生の方が圧倒的に多いけど、生きていく上で大切なことはちゃんと心のなかに残っていて、ふとしたときに、ころん、と出てくるのだなあと思った。

同じ人間の命ですら守られないような国だ。自分が生き延びるのに精一杯なのはなんかとても情けない。でも、わたしはせめてあのとき「なんてことしちゃったんだ」って泣いたときのわたしのことを捨てずにはいたいと思っている。それだけで何ができるの?という話ではあるのだけど。

いまからごはんを食べます。あまり時間が経ちすぎるとまた食べる意欲を失ってしまいそうだから。